膝の痛みと山歩き
何を隠そう私も登山を始めた頃、下りで膝が痛くて痛くて辛い思いをしました。
山は行きたいけど膝が。。
むかし半月板を痛めたこともあり、仕方ないのかなあーなんて思ってみたり。
いや、私は治療家。
どうにかしようじゃないかと人体実験を繰り返しました。
そこでたどり着いたノウハウをお伝えしたいと思います。
なぜ膝が痛くなるのか
一般的に大腿四頭筋の疲労や膝がねじれることで痛くなると言われています。
そのため筋肉を鍛えましょう、、インソールを入れましょう、、というのがセオリーです。
本当にこれで良いのでしょうか。
疲れるならもっと強くしよう、足の裏が悪いならインソールで形を作ってしまえ。
正直、安易だと思います。
あなたの筋肉はそんなに弱いですか?山を駆けまわる動物はインソール入れてますか?
常識を疑え。
筋肉の優劣が逆転している
筋肉には優先的に使いたい筋肉とあまり使いたくない筋肉があります。
膝が痛くなる人はこれが逆転してしまっているのです。
具体的に言うと優先的に使いたい筋肉とは
[頭長筋、頸長筋、多裂筋、前鋸筋、腹斜筋、腹横筋、横隔膜、大腰筋、骨盤底筋群、ハムストリングス、内転筋群、膝窩筋、後脛骨筋、腓骨筋]
これとは反対にあまり使いたくない筋肉とは体の表面にある大きな筋肉です。
例えば腹直筋(いわゆる腹筋)、僧帽筋(肩こりの筋肉)、大臀筋(お尻の筋肉)、大腿四頭筋(太ももの筋肉)など。
残念なことに山登りでよく使ってしまうのが大腿四頭筋。
この大腿四頭筋を使いすぎると筋肉自体に疲労がたまり硬くなり、膝のお皿の動きを制限してしまいます。
膝のお皿の動きが悪くなると滑らかな膝の屈伸ができず地面からの衝撃をまともに受けててしまいます。
膝のお皿の上下や膝の中が痛くなる場合はこのパターンの可能性が高いです。
膝がねじれてしまうパターンもこの筋肉の優劣で説明ができます。
優先的に使いたい筋肉がちゃんと使えていると体はブレません。
膝だけが過剰に内股になったりガニ股になったりしないので膝の横が痛くなりません。
インソールの弊害
弊害??まさか。
問題は土踏まずの部分の盛り上がりです。
「土踏まずをしっかり持ち上げて足のクッション性を高めましょう」
これが目的のインソールですが実は逆効果。
土踏まずとは床と足裏に空間があることで機能を発揮します。
土踏まずが盛り上がってるインソールは足裏によくフィットして大事な空間を埋めてしまいます。
足の裏の筋肉が機能せず、その影響で姿勢を崩し、床からの衝撃を分散することができずダメージを受けます。
これは扁平足でも同じです。
さらに土踏まずの盛り上がってるインソールは左右に体がブレやすくなります。この小さなブレは積もり積もって膝に大きなダメージを与えます。
具体策
ワーク
優先的に使いたい筋肉を使えるようにすると、必然的にあまり使いたくない筋肉は過剰に力が入らなくなります。結果、大腿四頭筋の疲労を回避、体がブレることもなくなり膝の痛みを防ぐことができます。
そのための簡単なワークを動画でご説明します。
上半身のワークもあり関係ないと感じるかもしれませんが、全身繋がっています。全身を使うことでひとつひとつの関節、筋肉の負担を減らせるのです。
これは日常的に毎日することで定着します。登山スタート前、途中でもやってください。
登山途中は全部するのは難しいのでできるワークだけでもやってください。
歩き方
登山をしてる方ならご存知のことですが、登る時は小股でややつま先と膝を外向きにして、一歩一歩膝を伸ばしきりながら歩く。
骨で支えて筋肉を休めるためです。
この時の注意点は太ももの筋肉、そうです大腿四頭筋を使って膝を伸ばさないこと。
太ももの裏の筋肉(ハムストリングス)を意識して股関節を伸ばす。結果膝が伸びるようにします。
下りでの歩き方はこれも小股。滑りやすい箇所は別ですが踵から着地せずにやはり足裏全体で着地。
その際骨盤をしっかり起すこと。骨盤が後ろに倒れた状態で歩くと大腿四頭筋に過剰に力が入ってしまいます。
また下りで膝が痛くなる人は上半身ガチガチに固めてる傾向があります。
上半身の力を抜き地面からの衝撃を全身で受け止めます。むしろ受け止めず地面からの衝撃が頭を突き抜けていくイメージの方が良いかもしれません。
ストックを使うと上半身ガチガチになる方がいらっしゃるのでご注意ください。
インソール
登山靴には初めから土踏まずが盛り上がったインソールがセットされています。
それを外して100円ショップで売ってるフラットなインソール、できたらフエルト生地のような少しクッション性のあるものを入れてください。
私も以前は高〜いインソールを入れていました。正直効果を感じない。
思い切って高〜いインソールを外し100円インソールにしたらこっちの方が断然快適!
なんてこった!ですよ。
まとめ
・優先的に使いたい筋肉を使えるようにすることが重要。そうすることで大腿四頭筋の負担が減り、さらに左右にぶれなくなり膝の上下中左右の膝の痛みを防ぐことができる。
・登りは小股に膝を伸ばしきって歩く。下りは足の裏全体で着地、上半身の力を抜いて全身で衝撃を受け止める。
・土踏まずが盛り上がってるインソールはいますぐ外すべし。
・今回紹介してないワークがまだまだあります。ご興味がある方はご連絡ください。
山は楽しいもの。苦しいけど体を壊すものにはしたくないです。
末長く山歩きができますよう参考にしていただけたら幸いです。